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もう、ここにはいません。残骸はてきとーに処分してみたりみなかったり。
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またいつか奇跡みたいに会えるよね?その時までの「それじゃあまたね!」

唐突ですが、初恋の人なんて覚えていますか?
その恋は、どうやって終わりましたか?

小学校に上がりたてのとき、最初の席替えで隣になった女の子が好きでした。こんな書き出しって事は、当然上手くいくはずがないのはご想像のとおりなんですが。葦太少年の初恋はあっけなく終わりを告げるわけです。理由は彼女の親の転勤。葦太少年は涙に暮れたわけです。

と、ここまでならよくある話。多分。転勤族を舐めてはいけない。
話は飛んで葦太少年の12年後。干支一周してます。

葦太少年、18歳。正直、ここら辺の記憶は思い出したくない部分でもあります。このころの自分は腐ってたから。世の中を舐めて、ヒネたふりをした鼻持ちならない奴。いや、今でも実は大して変わりませんが。それでも、今の自分がコイツを見たら、「矯正するには、もはや暴力しかない」ぐらいには思うでしょう。重ねて言いますが、今も大して変わりませんが。同属嫌悪。むしろ同一人物。

そして、大学受験の時。元々が駄目もとで受けた所だったんですが、一応は合格発表を見に行くわけです。絶望的な気持ちで。当然、絶望的な結果で。「やっぱ駄目か」と、落ち込んでみたり。その時、後ろのほうから、「○○ちゃん良かったね」って声が聞こえました。それは、あの時の彼女の名前でした。ふりかえると、そこに。

彼女が、いました。
12年分の成長をした、それでもどこかあの時と同じ顔をした。

小学生のころ、それでも「絶対いつかまた会える」って頑なに信じてた。そして、それは12年越しで本当になった。神様は、いた。それなのに。僕は、その12年ですっかり変わり果ててしまっていたのだった。神様はいたけど、ちょっと残酷だった。もしかしたら、天罰だったのかもしれない。

離れ離れになった時から、その時までに生きてきた時間の倍の時間が経ってた事。彼女はそこに受かり、自分はそこに落ちていた事。そして何よりも、その時の自分は、本当に腐ってしまっていた事。そんな自分を見せたくなかった事。そんなザマで、今さら何かができるわけがないじゃないか!

帰ってから、自分の部屋で泣きました。本当に久しぶりに。泣くことができました。大学に落ちたことより、腐った自分の姿の醜さに気づいてしまった事に。どこからこうなった?いつからこんなになってしまった?僕は初恋に二度泣かされたわけです。

あの時ほど、自分を変えたい、変わりたいと強く願ったことは、今までも、そしてこれからも、恐らくないだろうなと思います。

そして、いま。あれからの僕が変われた事なんて、大したことないのかもしれない。せいぜいが、「これは腐ってるんじゃなくて、発酵してるんだ!」って開き直れるようになったぐらいなのかもしれない。それでも。また、いつか。それがジジイになってからでもいい。もう一度、奇跡みたいに彼女に会えるなら。その時は、おばあちゃんになった彼女に、「俺、あれから頑張ったよ。どうにもなんないことも多かったけど、でも、頑張ってみたよ。」って伝えたいなと思う。そして、曲がった腰で、胸を張ってそう言えるよう生きていきたい。

まぁ、ほんとに言っちゃうと、相手は何がなんだかわからない事になると思うので、言えないけどね。「ボケてんのかコイツ」って病院送りになりかねない。

そんなわけで、かつての葦太少年はそんな感じで生きてますとさ。どっとはらい。


さて。ここまでの大作書いといてなんですが。えっと、
七割半がた嘘です。こういう事を平気でやれる程度には、まだ腐ってます。発酵と言い張りますが。どの2割半が本当なのかは、墓まで持っていこうと思います。
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南葦太(だったひと)
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